It is tough to be Professional

30, 31とITpro Expoに参加。たくさんのセミナーに行ったが、おもしろいのは3つか4つくらいかな。以下感想など。

  • とにかく熱かったのが、エンピレックス( http://www.empirix.co.jp/ ) 副社長である山岡さんの性能テストに関するプレゼン。プレゼンはやはりこうあるべきだと思った。性能テストは失敗すると最悪の場合アーキテクチャーまでさかのぼらなければならず、早い段階で手を打っておく必要がある。そのためには、性能に関する要件/目標/テストをシステムテスト前に計画をしておかなければならない。また、性能テストはマルと罰ではなく、ハードウエアの設定の最適化を行う場であり、数回のテストサイクル(ループ)をまわし、仮説とその検証を繰り返す必要がある。など。
  • やはりペアプロはかなりハードらしい。このとき、学校の時間割のような計画がよいとのこと。一方で朝会と夕会を行い進捗を必ず把握する。タスクは壁にはり、わかりやすくする。など。一番興味深いのは、やはり決まり事を決めても、だんだんその実態が陳腐化することの戦いだということ。引き締めも時には必要らしい。
  • Rubyのまつもとさんとロボットクリエイターの高橋さんの対談は面白かった。二人ともとても似た者同士で、自分の好きなことを仕事にし、そのためであれば時間を忘れて集中する。その感じが私にはありえないので、やはりそういうのにはむいていないかもしれない。ちなみに、まつもとさんはそんな集中する自分を引き止めているのが子供たちの存在らしい。
  • OOの青木さんとDOAの佐藤さんの対談。どちらの方の言葉も厳しい。システムを作るために必要なことは、はやりの言葉ではなく、「数学」と「哲学」らしい。つまり、物の見方とそれに対する論理の組み立てということだろうか。二人ともおっしゃっていたのは、手法が一人歩きしているということ。(特に日本は)デザインパターンに沿っていたらよいという安易な傾向があるが、そんなことはない。ハウツー本をそのまま仕事に適用できて、それで仕事が終わるなら、プロはいらない。現実は多様で難しい。それを理解せずに、要件が複雑にることをお客さんのせいにしてはいけない。アラン・ケイは「複雑なことを単純に制御するために、私は生物の世界など自然に存在する物にヒントを得て、それを実現化している」という。そのような現実に立ち向かうために、勉強せよ。30代からでも遅くはない。

オブジェクト指向は脳のシナプスネットワークをモデルにしていることを思い出した。そう、実際のビジネスの現場は複雑だ。お客さんの意図を汲み取るだけでも難しい。それをいかに汲み取って、それを簡単な形の集合に分解して、複雑な案件にいかに対応するか、なのだ。これは、日経が主催するシンポジウムだが、今回の日経コンピュータSOAが進まぬ理由」の感想を思い出した。それは「日本人は横文字の言葉をひたすらありがたいと思っているが、実はたいしたことを言っていない」ということ。個別最適の構築手法だの最新ITだの・・・そしてSOA、ビジネステクノロジなどという新しくカッコイイ言葉。でも、新しく、私の心に響くことはなにもなかった。むしろ、このおじさん二人が言っていた言葉のほうが、興味深いと思った。