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先月から、中小企業診断士の試験勉強を再開した。診断士の2次試験というのは、テニスでいうと、いかに相手がいるところへボールを打ち返してあげるかということに近い。つまり、出題者が意図した答えに近い形を返さなくてはならない。ユニークだったり、面白い答えは不要だ。
しかし、出題者も馬鹿ではないので、できる限りあいまいな、問題にわざと解釈の余白を残して出題をしてくる。このため、さまざまな解釈が可能な問題となり、こちら側は何を書けばよいのか迷ってしまうのだ。
たとえば、「投資をすべきかどうか答えなさい」という出題があったとしたら、診断対象の企業は投資すべき状況でありつつ、投資すべきでない状況も混ぜてくる。そこで、われわれがやるべきことは、どちらもあるということを示し、整理することだ。よって、結論はどうでもよい。どちらの結論にしても、やるべき理由とそうでない理由を混ぜて記述する。最終的な判断をするのは診断先の企業であり、私たちができるのは、それに対する支援に過ぎない。
そもそも、診断士やコンサルタントが経営するのではない。あたりまえだが、経営者が経営するのだ。では、診断士やコンサルタントがやるべきことは何か?それは、経営者のさまざまな悩みや問題について示唆を与えること、より具体的にいうと、経営者の経営方針を外部からチェックしたり、新たな発想で経営者の問題や悩みを解決するヒントを与えることである。
実は経営者は自らの会社に関する問題点、目指すべき目標をたいていは理解している。当然ながら、何年もその業界で仕事をし、経験をつんでいるのだ。そこらにいるコンサルタントに負けることは、そうないはずだ。コンサルタントができることは、その目標を達成するための障害について、経営者と一緒に悩み、門外漢のコンサルタントが違う発想で、解決しようと試みるということだ。つまり、コンサルタントがあれこれ経営者に指示するのではない。経営者よりも偉いわけでもなんでもない。むしろ逆のことが多いはずだ。その仕事に関する業務はお客さんのほうがよく知っているのだから。
診断士の問題はお客さんの悩みをあらわしていると思う。矛盾した簡単に解決できない状況に立たされているお客さんにとって、診断士がまずやらなければならないことは、そのお客さんの悩みを共有すること。それができるか?それが2次試験の内容なのだと思う。