腐った翼

腐った翼―JAL消滅への60年

腐った翼―JAL消滅への60年

JALがなぜ破綻したのか、その話を生い立ちを交えながら、書いた本。何か唐突な経営の悪化を感じていたが、やはりかなり昔から相当の無理をして、決算を行っていたようだ。はっきりいってしまえば、官民一体で利益操作をしていた。個人株主に対する背任行為と言っていい。
人件費にはほとんど手がつけられず、飛行機に過大な資産計上をしているために、新しい機体を購入できないという状況では、安易な解決はもはや無理なのはあきらかである。にもかかわらず、なんとかもがいてしまったのが、傷をさらに大きくしてしまうことになった。要は損切りができなかったのだった。
JALのトップともなれば頭が悪いわけではない、どうすればよいのかよくわかっていた。だが、それを実行できなかった。実現する能力の問題もあるかもしれない。だが、簡単な解決の道は、今までの問題を公にして、今までの失敗を認めた上で、ゼロベースで新しいビジネスモデルを構築することである。
しかし、JALを操ってきた官僚はいままでのやり方を失敗だとは口が裂けても言えない。それはさんざんJALを食い物にしてきた自民党運輸族も同様だ。そしてそれに引っ張られる形で、経営陣もウルトラC的な投機に走り大失敗する。まるで、戦争中の日本軍のようだ。
これからはLCCの台頭などでさらに外部環境は厳しくなる。果たしてリストラは本当にできるのだろうか?そして、復活することはできるのだろうか?この本を読むとそれはとても難しいように思える。