オープン環境における会計システムの設計 デロイトトーマツコンサルティンググループ

平成8年の本なので、15年前の本となる。内容的に古いせいか、amazonの中古本サイトでは50円で売られている。この本もBook-Offで105円で売られていたのを購入した。
ちなみに15年前となると、私も仕事をし始めて、2年目となる。私のキャリアも長くなったものだ。

オープン環境における会計システムの設計

オープン環境における会計システムの設計

以下はメモ。

  • 「オブジェクトは最小単位にまとめられた機能であり、処理の基礎を構成する」(p23)って本当かよ。
  • 他人任せにできない経理の仕事と言えば(p46)
    1. 予算統制
    2. 決算方針(損益の算定)
    3. 監査対応
    4. お墨付き(承認)
    5. 資金繰り
  • 勘定科目が多すぎるのは、管理目的を包含しているせいであり、本来は摘要とすべきではないか?入力ミスやコード入力のストローク数が増える問題がある(p50)。でも、まあ、結局摘要とすると同じような気もする。
  • 一般的には伝票などの出力帳票に対して承認を行い、それをオペレータ自らが承認するというのが多い(p51)
  • 現代の財務諸表監査は試査による監査であり、被監査会社に適切な内部統制が確立され、運用されていることがその前提条件となる。内部統制の状況が良好であれば監査の実施も容易である。内部統制とは「企業の資産を保全し、会計の正確性と信頼性を確保し、かつ経営活動を総合的に計画し、調整し、設定するために、経営者が設定した制度組織方法、および手続きを総称するものである(p60)。ようは「資産の管理や経営をきっちり実施するために、経営者が決めた制度・組織・手続き」のこと。
  • いわゆるダブルチェックによる不正や虚偽、誤謬を防ぐことを内部牽制という(p61)
  • 経営者による自己監査を内部監査、公認会計士などによる監査を外部監査と呼ぶ(p62)
  • 一般会計システムでは勘定科目以上に細かい情報を管理してはならない。そうでないと会社の情報システムは統合できない(p91)。ただ、ちょっと根拠がわかりにくい。自然な発想らしいが、どういうことだろうか。
  • 財務会計の土俵の上で管理会計を語ることが間違っている。従来は、財務会計システムに集約された会計情報を源として、これを加工する形で管理会計目的のアウトプットを作成するものである。しかし、目的や数字が違うのだから一緒にしてはならない。部門別のPLを一般会計システムから作成している会社では組織変更のたびに苦労しているのである。これは業績評価単位としての組織概念を財務会計の世界に持ち込んでしまったことに原因がある(p94)。とあるが、セグメント別のPLを出すのはもはや管理会計ではなく、制度会計上、必要なことになりつつある。少し内容が古いか。ただし、肥大させてはいけない、またはシステムとしてはきっちり峻別すべきということであれば、わかるのだが。
  • 情報システムの未熟であった頃は、何かと言えば総勘定元帳をひもといては当たりをつけて原始取引にさかのぼっていたのであるが、現代の会計システムはそうではない。膨大な会計取引データを様々な切り口から即時に取り出すことができる。こうなると勘定科目は企業の会計取引を整理するための意味さえ失ってしまう。最後の目的は外部報告目的での財務諸表を作成することである。つまり、勘定科目は原始取引と財務諸表を結ぶ連結環としての役割が中心である。(p97)
  • 売上情報を販売管理システムに入れられないような例外的な事態で、売上を一般会計システムだけに入力し、それを販売管理システムにフィードするというようなことはやるべきではない。そこで、販売管理システムの売掛金と一般会計の売掛金を分けてしまって、区分して管理する方法がある(p98)
  • 勘定科目そのものの追加変更を容易にするためには、できる限り意味を持たせないこと。ただし、意味があったほうが、入力などには便利なので、別途内部的なコードを持たせるなどの工夫が必要(p99)
  • 集計方法の変更に影響を受けないようにするためには、入力用の勘定科目コードと、各勘定の集計を別にすること(p99)。コード体系から集計するのは最悪。
  • 組織の変更に影響を受けないこと。このためには勘定科目に組織概念を持ち込まないこと(p99)
  • カットオフ(締め切り)機能とは、本来の取引発生日をもって計上できないため、会計期間の混在があっても、正しい期間に帰属できるようにする機能である。これがないと、締めないと翌月の取引を認識できないということになる。この機能は会計仕訳を作成するすべての情報システムが保有すべきである。(p101)
  • 自動仕訳を行う場合に、原始取引データがすでに適当な役職者による承認を得ており、自動仕訳そのものが正しいこという要件を満たす必要がある。人間がチェックすることは絶対に避けなければならない(p107)
  • 訂正・取り消しについては、状況と場合による
    • 計上前であれば、いくらでも訂正と取り消しができてよい
    • 計上後であれば、基本的には逆仕訳をおこなうが、訂正する項目が仕訳項目以外であれば、その範囲ではない。
  • 締め処理は何度でもできるようにすべきである(p109)