儲けるための会計 強い経営を作る管理会計入門

管理会計についてのわかりやすい入門書で,すぐに読めてしまう.ただ,何ができるのか,という点に力が置いてあり,どうやってそれらを求めるのかという点については別の本を参考にする必要があるのだろう.

  • 「コンピュータを入れればなんとかなる」というのは思いこみであり,かえって混乱する.経理業務の流れができていない会社ほどパソコンに頼る.
  • システムは決まったことを高速で反復するのが得意なだけで,決まっていないことを高速で反復すると大変なことになる(当たり前なんだけどなぁ)
  • 製品別や店舗別P/Lなど,経営者にとって役立つP/Lをつくる.
  • 決算書はあくまでも過去にすぎない.よって数字を使った計画を立てることが重要である.
  • コストには売上に伴うコストと伴わないコストがある.
  • JALジャストシステムは固定費比率が高く,変動費比率が低い.このような会社は売上予想が少し外れるだけで業績が大きく変わってしまう.
  • 価格戦略は非常に難しい.「単価を10%下げれば,売上を10%あげればよい」のではない.変動費比率が50%だとすると,売上は25%上げる必要がある.逆に値上げ戦略は逆のことが言える.
  • 裏を返せば,値下げによって販売数量が大幅に増加し,固定費が大きいものには,低価格戦略も可能であるといえる.
  • 損益分岐点売上高は「固定費/限界利益率」で求め,利益を出すための売上の大きさを予想することができる.
  • 限界利益率が高い製品が増産にふさわしいと言えるが,増産した製品すべてを消費者が買ってくれるという前提であることに注意.
  • 固定費は管理しにくい.よって,活動基準原価計算(ABC)という手法で管理することもある
  • 会社は保有する総資産(資本)に見合ったリターンを売り上げる必要がある,という意味でROAROEなどが注目される
  • 設備投資計画について日本企業は消極的.正味現在価値法(NPV)の採用比率が低い.これは毎年のリターンの総和と投資金額を比較する.ただし,将来のリターンは金利などから求めた資本コストを加味する.
  • 一方,内部利益率法というのもあり,これは正味現在価値法における資本コストがいくらであれば投資金額と釣り合うのかということをもとめるものである.

実学入門 儲けるための会計―強い経営をつくる管理会計入門

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