残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法

残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法

残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法

人間は遺伝的な要素が大きく、不平等であるから、人は変われるとか、努力でなんとかなるのというのは人を不幸にする。で、人は様々な能力を持っているが、今の社会で評価される能力は偏っているため、格差を産む。そう簡単に能力は向上しないし、性格を変えることも難しい。では、幸せになるためには、どうするか?
一つ目は、共同体の復活はもう難しいので、友情を媒介とするネットワーク、つまり伽藍というクローズな社会ではなく、バザールという開放的な社会の中で、関係性を築いていくしかないということ。もう一つは、ロングテールの中にニッチな市場を見つけていこうということ。
おもしろかったのは、日本の会社員とアメリカの会社員を比較すると、今の仕事に対する満足度は日本の方が相当低いということである。つまり、日本の会社というのは伽藍の中で保護される代わりに、会社への忠誠を誓わされたわけである。また、同様に友人という濃密な関係も実は残酷なことがあり、むしろ知人くらいのもっと緩い関係の方が、より広くすることができ、お互いを生かしあえることが大きいという。
私たちの社会は、主従関係から対等な関係、つまり嫌になったらなくすことができるという、友人という関係が社会のつながりの基本になりつつある。例えば、会社での関係だけでなく、夫婦関係や親子関係でももはや主従関係ではない。ただ、さらに関係は希薄になり、一方でより広いつながりになるという考えは新しいように思う。
また、モナコにおけるセレブリティの大変さの例も具体的でいい。それが本当に幸せ感につながっているのかという問いかけはとてもわかりやすい。