規制の有効性

ボーイング危機を追う

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一番よく読んでいた連載。ボーイングの失敗が書かれている。
MDと合併したことで、コストを削減し、利益を追う会社になり、安全が優先されていかなくなったということや、トランプによって規制が撤廃されたことが、ボーイングの失敗に繋がったという。それは正しいとは思うが、規制を強化すれば安全になるのかといえば、私はそうは思わない。私は社会主義者ではないので。
ボーイングが目先の利益にとらわれ、言い換えると短期的な、経営者がおそらくモチベーションとなっている株価を上げることに重きを置きすぎている点こそが、問題だと思う。しかし、そういう会社はこれまでアメリカのいろいろな会社が経験したように、市場から退場させられる。つまり、経営者がより長期的な経営のビジョンを持てていないことが本当の問題ではないか。
規制は確かにストッパーにはなり得るかもしれないが、完全ではない。また、あまりやり過ぎると競争力を失わせるし、責任が曖昧にもなる。会社が規制さえクリアすればよいという考えになるとそれはそれで大きなリスクだ。実際に問題が起きた場合にも言い逃れしやすい。
一方、実際にボーイングは大きな失敗を被った。利益を政治家工作への資金に回し、規制を骨抜きにさせたが、それはかえって、安全に対する自らの責任をより多くしてしまったということにほかならない。にもかかわらず、安全よりもコストを取ってしまった。それに対して市場は厳しかった。それは、すごく正しい反応であって、経営者の責任は問われることになるだろうし、ボーイングは同じことを2回繰り返せば、終わるだろう。
ボーイングは唯一のアメリカの航空会社になったことで、ある種の特権的な位置となり、驕りがでたのかもしれない。いずれにせよ、「ボーイングが危機になった」という意識を経営者が正しく持っているのならば、2回目は正しく修正してくれることに期待したい。