ビジネス書ベストセラーを100冊読んで分かった成功の黄金律

タイトルからすると、なにかビジネス書の要約をまとめた本のようにも思えるが、実際はそうではなく、ビジネス書が述べる結論や法則といったいわば「黄金律」がいかに矛盾し、珍妙なものかを暴いている本である。

たとえば、本書の教え23の「ひとつのことをやり続ける」というものと、24の「ひとつのことをやり続けない」というのは相互に矛盾している。本書では、中でも極端な例の内容が示されており、私は一番好きな箇所だ。

おぞらく、この教えはどちらも正しい。そして、どちらかに言い切ることは間違いだろう。だが、おそらくそれではビジネス書としては成立しない。どちらかに答えを求めている人がビジネス書を求めているのだから。

このビジネス書の役割は、占いに似ている。将来に不安な人に対して、背中を強く押してくれる。もし、不吉な結果なら、他の占いを試せば良い。ビジネス書も同じだろう。もし、自分に合わない方法を示すビジネス書であれば、それはBOOK OFFに売ればよく、別の本を買えば良いのだから。

ビジネス書に求められていることは、一貫性のある客観的な事実ではない。自分がそうなりたいと思える人(ロールモデル)の考え方やふるまいを知りたのだ。そして、自分が明日から実行できることなら同じことをしたいし、自分が迷っていることがあれば、強引に結論を導いて欲しいのだ。

中には疑似科学や心霊的(スピリチュアル)なビジネス書のことも述べられているが、これを書いたビジネス書の著者も本気で事実だとは思っていない気がする。そうではなくて、「そういう世界だといいな」「そういうようにみんなが思ってくれたらいいな」という願望を書いているように思える。一時はやった「江戸しぐさ」みたいなものの一種ではないだろうか?それに共感する人が一定量いればそれで成立するのだろう。

私は著者のYoutubeを見ていたので、本書を読むことはいわば復習のようなものでもあった。スパチャを1度打って、著者が面白そうに反応してくれたことはいい思い出になった。

ところで、本気で「黄金律」を求めていた人はどんな気持でこの本を受け取るのだろうか?それは少し興味がある。