NHKスペシャル

オウム真理教によるサリン事件で死刑判決を受けた被告との手紙のやりとりを元に構成した番組。手紙を元にオウムに関わっていくことになった被告たちの生涯をトレースしていく。
彼らのような異常な環境におかれると人はまったく正常な判断力を失ってことがわかる。いわゆる洗脳かもしれない。そして、麻原も、結局はその環境によって流されてしまったひとりなのかもしれない。ようするに異常な組織の昂揚を誰も止められなくなってしまったということだろう。たとえ教祖であったとしても。
おもしろかったのは麻原の印象を語る部分。はじめは「どこまでも優しい存在」だったという。私から見れば到底優しさの欠片も持っているとは思えないが、はじめの頃はそうでなかったかもしれない。うまれつき残忍な人などそれほどいるようには思えない。
残忍さと優しさを人はどちらも抱えて生きていて、その危ういバランスで人は生きているのだろう。
ユダヤ人を虐殺し続けたナチスの将校が、家ではよき父親であったように。

麻原は死刑判決を受けることだろう。それは正しい判断であるように思う。しかし、この事件から私たちはいったいどれだけのことを学ぶことができたのだろうか?