マイケル・ムーア「おい、ブッシュ、世界を返せ!」(ISBN:404898151X)

鋭いのは、アメリカは保守化などしていないという指摘。日本にいるとどうしても保守化しているという情報ばかりが入ってくるが、ムーアはデータを示しながら実際はそうでもないことを示す。
いわれると、例えば「同性のカップルを認める」といったニュースが目に付く。確かにその通りなのかもしれない。そして、「リベラル」であることが恥ずかしくなってきているという指摘もおもしろい。
ムーアがブッシュとアラブの関係を暴く際に使っているのは、極端に偏った情報源ではない。実は「ウォールストリートジャーナル」など一般的には保守的と思われているメディアを使用している。これもとても意外。いわばムーアはそれらの上をなぞっているにすぎないのに、この文章全体がとても危険に思えてしまう。私たちが手にするアメリカの情報にも偏りがあるのか、あるいは単に情報量が少ないのかのどちらかなのだろう。
最後のほうで、ムーアはリベラルにも問題があるという。このくだりはもしかすると一番おもしろかったかも。