親不知

これで、「おやしらず」と読む。富山県新潟県の県境に当たる地域で、日本有数の難所である。いや、私は日本一と言っていいと思うくらい過酷なところである。
山がそのまま海に落ち込んでいるところである。よって海岸線以外は通る道がない。

新潟県の最西端、富山県境の西頸城(にしくびき)郡青海(おうみ)町市振(いちぶり)から青海駅まで約15キロメートルの海岸景勝地北アルプスの北端が300〜400メートルの断崖(だんがい)をなして日本海に突入する北陸道の最大難所である。旧街道はこの断崖絶壁の波打ち際の、狭い砂浜を波間をみて走り抜けたので、親は子を、子は親を顧みるゆとりがなかった。1185年(文治1)大納言(だいなごん)平頼盛(よりもり)の妻が、この海岸で子供を激浪にさらわれ、「親知らず 子はこの浦の波まくら 越路(こしじ)の磯(いそ)のあわと消えゆく」と詠んだのがその起源といわれている。

スーパーニッポニカにはこうある。
私も日本中の海岸線を走ってきたが、ここほど断崖絶壁の続くところはそうない。北海道の雄冬峠付近くらいか。しかし、そことは交通量があまりに違いすぎる。まさに天下の険にふさわしいと思う。
8号線はこの天下の険の断崖をかなり高い位置で走行する。スノーシェードが延々と続き、ハンドル操作を誤ると即死という緊張感がつづく。このあたりは車の人とのものとは全然違うだろう。
糸魚川についたときはほんとうにほっとした。
そのあとは海岸線をゆっくり走行する。鉄腕DASHのソーラーカーが走行していそうな道を延々と走る。天気がよく、風も穏やかで、冬は相当荒れ狂っていたであろう日本海もべたなぎ。気持ちよかった。