オブジェクト脳のつくり方

牛尾剛著
ISBN:4798104183
オブジェクト指向の概念とくに「なにがうれしい」のかをよく書いた本。著者が述べるようにオブジェクト指向の根本の概念を知らなければ、UMLの細かな記法など覚えても何の意味もない。
またデザインパターンの説明もさりげなくてよい。なんとなく難しくて立派な感じがするデザインパターンをたいしたことなく説明できているように思う。デザインパターンのほとんどは上記の「なにがうれしい」のかということを理解していればある程度は自然に理解できるものだ。
残念なのはEJBの説明のところ。少ないページ数で説明しなければならないのでやむをえないのかもしれないが、あまりにも「お約束」が多くてよくわからない。また別の本で補う必要があるように感じた。
意外と面白かったのが「教えられる人のタイプ別傾向と対策」という部分。「クビにすべきタイプ」でも著者の愛情が感じられていい。
また、コラムで著者がADHDで薬を投与されて性格が変わってしまったという話があった。「片づけられない人」って脳内物質が少し足りないだけで、怠惰というわけでないらしい。怠惰かどうかというのも結局脳内物質次第なのだから、「その人個人」の性質っていったいなんだろって思ってしまった。じつはこのコラムの内容が一番心に残った。
著者の牛尾さんは関西のXPユーザーグループで活発に発表されていた人。関西人らしいパワーを感じる発表が印象に残った。