嘘つき大統領のデタラメ経済

新進気鋭の経済学者クルーグマンによるNYタイムズの連載を再編集した本。集中講義の「世界経済」の先生が言っていた内容と同じ部分があったりして、マクロ経済学という立場でクルーグマンが話をしていることがわかる。
ブッシュ大統領は経済発展の維持にはサプライサイドつまり、供給側への支援を行い、そのためには規制を撤廃し、より民営化と自由競争を取り入れる必要があると考えているようだ。また、金持ちを優遇することによって、株式などへの投資資金をよびこみ、景気を刺激させようとしていると、思われる。しかし、実際にはこれは多数の中間層以下の国民にとって愉快な内容ではないため、ブッシュ政権はあれやこれやの手を使って国民を欺き続けている、という。
実際問題としてエンロン疑惑や、カリフォルニア州における電力問題など、明らかな自由競争による失敗だったのに(ようするに市場操作が行われたということ)、ブッシュ大統領はそれにたいし、環境保護団体による規制によって供給が追いついていないといっているようだ。
このクルーグマン氏のコラムの中でも驚かされたのは、例の9.11の直後に、彼は「アメリカには自業自得の面がある」と書いたことだ。しかもNYタイムズという大新聞のコラムにだ。かなりの批判があったようだが、それをわかった上で書いた勇気には感嘆する。

嘘つき大統領のデタラメ経済

嘘つき大統領のデタラメ経済