図説・2・26事件 ふくろうの本(ISBN:4309760260)

忠臣蔵とならんで、雪の日に起きたクーデターとして後の世にも語り継がれることになった事件について書かれた本。事件の経過と結末が書かれ、処刑された青年将校の顔写真と生い立ちが書かれている。
とくに彼らの裁判がどのようなものであったのかが、書かれており興味深い。というか、ただの暗黒裁判だったのだが。
この事件は普通考えると奇妙な事件である。「皇道派」将校が昭和維新を起こすために決起し、天皇の周りにいる陸軍に協力的でない人たちを殺害した。
というところまでは、まあよい。
問題はなぜか彼らは天皇がそれを認めてくれると頑なに信じていることである。それがどうしてもよくわからない。
結果的に天皇はお気に入りの重臣を殺されたわけだから、激怒し制圧されてしまう。
あたりまえである。そんなことがなぜわからないのだろう。確かに農村は酷い状態になり、根本的な改革が必要であった。それはわかるが。(彼らの行動が正しいかどうかはともかくとして)
彼らは死ぬまで天皇の御心がどうだのといっている。全く持って意味がわからない。結局その肝心な部分がこの本ではわからなかった。死んでいった将校達は単に陸軍の勢力争いに勝つためにやったのか?それにしては、あまりに純粋すぎる。