一生に一度もおきることがまずない事件

朝市に行こうと思っていたが、みんな寝過ぎ。結局、車で「末廣」の蔵へ。蔵で一通りの説明を受けた後に事件は起きた。
上槽(じょうそう)という工程がある。これは酒の醪を絞り、酒粕と酒を分離する工程である。大メーカーだと機械で行うのだが、能登の小さなメーカーだと醪を酒袋につめ、それを槽(ふね)というものに詰めて圧力をかけて絞る(詳しくは地酒研wiki参照)。
醪が入ったタンクから槽に醪を送るポンプの調子が悪く、圧力が高すぎる、と蔵人さんが話されているなと思ったときだった、いきなり目の前が真っ白に。どうやらポンプの故障で圧力が高くなりすぎ、醪がかなりの勢いで溢れ、見学していた私たちはもろにかぶってしまった。
私は一番近かったが、直撃を避けることができた。しかし、「ハカ君」はバチがあたったのだろう、一番酷い状態に。一面、新酒のさわやかなにおいが立ちこめた。
結局、絞り工程は中止。さらに、これによって生産量が変化するため、税務署への申告をするため、カメラで現場を撮影、掃除、原因の究明、と杜氏さんを始め蔵人さんはてんてこ舞いの大忙しに。しかし、私たちも帰りたいのだが、みんなびしょぬれですぐ帰るわけにも行かず・・・。
さらに次の見学者の人が来たりして、杜氏さんの奥さんはとても大忙しで大変そうだった。こんなことははじめてです、と蔵の人。きっとこんなことは一生にでも一度経験する人はまずいないだろう。貴重な経験をすることができた。