石井勝さん

いつものように,まつもとゆきひろさんの日記を読んでいたら,「るびま」にて「まさーる」さんの追悼記事が載っているというのに出くわした.最近,ページの更新が少なかったので,体調を悪くされていたのかと思ったが,なんとあの尼崎の電車事故で無くなられたという.いままで,まったく知らなかった・・・.
私の人生に大きく影響を与えた技術者の数人の中には,石井さんは必ず入ってくる.テストファーストに代表されるエクストリームプログラミングの考え方や,Ruby,とくにオフィススイートとWin32OLEライブラリを使って,ドキュメントを自動生成しようというアイデアなど,思想的にも,実践的にも影響を受けた人だった.
2000年に行われたPerl/Rubyカンファレンスの有料セッションである「Advanced Ruby : RubyUnit(Testing Framework) http://lc.linux.or.jp/lc2000fall/t-detail.html#a-ruby 」に,会社を休んで参加した.そのときはじめて石井さんにお会いして実際にXPとテストファーストの考え方についてレクチャーを受けた.
あのとき,実務でペアプログラミングをされて効果が出ていると力強くおっしゃっていたのが印象に残っている.私はその当時の仕事のやり方に疑問を持ち始めていた時期でもあったので,あの出会いは私の人生に少なからぬ影響を与えた.
それから石井さんのホームページを見て,Rubyによる作業の効率化を考え始めた.前の会社ではXPなんかとてもできる環境にはなかったが,そういう効率化程度であれば何とか時間を割ける環境にはあった.石井さんの書かれていたWin32OLEの解説をよみ,サンプルを真似することで,Excelを使用した仕様書からプログラムのひな形を生成するスクリプトを書いた.実際にそのスクリプトは私が退職した後も長い間使われている.
http://www.objectclub.jp/news/community/memorial/に,追悼掲示板が出て,多くの人が,その突然の死を惜しんでおられる.また,「るびま」の今月号巻頭の言葉http://jp.rubyist.net/magazine/?0006-ForeWordは石井さんへの感謝に溢れた言葉で,私もうなずくばかりだ.

まさーるさんが書かれた文書は、確かに自分の血肉の一部になっていると思う。そのような優れた文書を書かれたことに、心から感謝している。

追悼掲示板に,短い文章をアップした.