The unacceptable truth

最近、定期購読することになった日経新聞「明日への話題」より。

共産主義は、第一に人間の本性が善であり第二に人間知性が無限の能力を持つことを前提にしていた。(略)だが人間は自分勝手で冷酷であり、その知性もエゴに歪んで限界にぶつかる。社会主義の崩壊が示したのは、人類についての悲しむべき真実だった。
資本主義は逆に人間のエゴイズムを基盤とする。(略)しかし、それを野放しにしたとき何が起きるか。弱者の絶対的貧窮化と社会の共同性の崩壊。

護憲論や非武装論も共産主義と同じ考え方に基づいていることがわかる。そして、残念だが、悲しむべき真実が、それが不可能なことを示している。人間である以上、善(例えば人を思いやる気持ち)と悪(例えば人を打ち負かしたいと思う気持ち)の二つの微妙なバランスをはかりながら、社会を維持していかねばならない。善と悪のどちらの欲求も満たさないと私たち人間は幸福と感じられないからだ。
つまり、経済は弱者の絶対的な貧窮化と経済の停滞という二つの間で、政治は常に戦争に対し恐れおののき生きていくという、このような不安定な状態が人にとって最適なのだろう。